roomマイコーチの部屋【管理栄養士からのアドバイス】
糖尿病と「糖質制限」の話
糖質制限をすれば糖尿病が治る!? 手っ取り早く減量したいし主食は摂らないでおこう・・・そんな風に思ってはいませんか?間違った制限や、自己流で実践してしまうと、思わぬ危険が伴うこともあるのです。ここでは、糖尿病と「糖質制限」についてお伝えします。
糖尿病と糖質制限
糖質制限食の効果
糖尿病は、血糖値を下げるインスリンというホルモンが、膵臓からスムーズに分泌されなくなってしまう病気です。また、インスリンの効きが悪くなることも原因となっています。そこで血糖値の上昇に直接関係する「糖質」を減らし、食後血糖値の大幅な変動を抑えることで、血糖コントロールを管理していこうという食事療法が「糖質制限食」です。
糖質制限食には肥満改善効果が期待できます。肥満は、内臓脂肪が増える⇒インスリンの効きが悪くなる⇒糖尿病の悪化の原因に繋がるため、肥満解消は糖尿病にとってはとても有効です。
過度な糖質制限を行うと、エネルギーや他の栄養素が不足するデメリットがあります
糖質制限で炭水化物の摂取量を減らす場合には、不足した分の栄養素をその他の低糖質食品から補わなければなりません。野菜や果物をはじめ、乳製品、大豆製品、きのこ類、魚などからバランスよく栄養素を摂取するように心がけましょう。
糖質制限の落とし穴
糖質制限とケトアシドーシス
極端な糖質制限食を続けると、慢性的なエネルギー不足に陥ります。すると、身体の機能を維持するために筋肉のアミノ酸や脂肪を材料として糖を作り始めます。それでもエネルギーが足りなくなると身体の脂肪酸をエネルギーとして使用し脂肪酸をどんどん分解します。脂肪酸が分解される際には、副産物として「ケトン体」と呼ばれる物質が作られ、このケトン体が血液中に急激に増加すると、高ケトン血症になって血液が酸性に傾きます。これを、ケトアシドーシスといいます。
糖尿病でケトアシドーシスが起こると、嘔吐、悪心、腹痛、脱水などの症状があらわれ、低血圧や頻脈になってしまいます。そのまま放置して重症化した場合には、昏睡や意識障害を起こして命に関わることになります。
糖質制限が糖尿病を発症させる!!
糖は私たち人間が生きていくうえで必要不可欠な栄養素のひとつです。脳が正常に働くためにも欠かせません。極端な糖質制限を行ってしまうと、生命維持に危機を感じた身体が「糖新生」と呼ばれる反応を起こして、筋肉や脂肪から糖を生み出そうと必死に動き出します。無理な糖質制限の結果、慢性的な低血糖状態になってしまうと、生命を守るためにコルチゾールというホルモンを分泌して糖を生み出すと同時に、「インスリン」の効きを悪くして、できるだけ血糖値を下げないように働きだします。
すると血糖値を下げられない体質へと変化し、糖尿病を発症させるリスクが高まってしまいます。
極端な糖質制限や間違った方法では、逆に体調を崩してしまう原因にもなります。糖質制限は決して安易にスタートせずに医師や管理栄養士にまずはご相談を。
生活習慣病を改善したい方、気になっている方
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管理栄養士 腎臓病療養指導士
大都 宏子(だいと ひろこ)
私はここに来るまでの20年。多くの在宅で生活習慣病の療養をされている方に出会ってきました。病院とは異なり、自宅で食事療法に取り組まれる方の悩みや不安は千差万別。自分なりに取り組むもなかなか改善できない。何からすれば良いのかわからない、気づけば重症化していた・・・悩みは出会った人の数だけあったように思います。 ここでは、少しでもみなさんの不安や悩み解決の糸口になるような情報を発信していきたいと思います。