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roomマイコーチの部屋【管理栄養士からのアドバイス】

あなたの腎臓は大丈夫!?自覚症状がない「隠れ腎臓病」について 


最近、むくみやだるさ、頻尿、尿が泡立っている・・・こんな症状が気になっていませんか?
健康診断で尿検査、血液検査の結果を放置していたりしていませんか?

自覚症状がないうちに腎臓機能が落ちている「隠れ腎臓病」の人が増加中です。ここでは腎臓についてお伝えします。

 

腎臓ってどこにあるの??



腎臓はそら豆の種子の様な形をしており、腰より少し上、下部肋骨の辺りに2つあります。
身体の右側には肝臓があり肝臓によって圧迫されるため右側の腎臓は左側の腎臓よりやや低い位置にあります。
縦の長さが約10㎝程度、横の幅が5〜6㎝程度で、にぎり拳を一回り小さくしたくらいの大きさ。重さは約150gでノート1冊分と言われています。

腎臓のつくりはどうなっている??




腎臓は外側の部分(皮質)と内側の部分(髄質)に分けられます。尿を作る糸球体と呼ばれる毛糸の玉のようなものと、作った尿から水や体にとって大事な栄養を再吸収する尿細管とがセットになったものをネフロンと呼びます。
糸球体はすべて皮質の中にありますが、尿細管は皮質と髄質の両方にまたがっています。何千ものネフロンからの集合管を通過してきた尿は、コップのような形をした構造物(腎杯)へと流れ込みます。 1つの正常な腎臓には、ネフロンが約100万個あり、腎臓は2つあるので1人あたり約200万個のネフロンを持っているということになります。
腎臓は1日150~200リットルもの血液をろ過していると言われています。
腎臓の血管がいかに重要かということがお解かりいただけたかと思います。

 

 

腎臓は何をしているの??

①血液をろ過して尿をつくり老廃物を体外へ排出する

心臓から腎臓に流れ込んできた血液が、糸球体を通ると、老廃物がふるいを通ってろ過されます。健常な方では、赤血球やたんぱく質などはろ過されず、きれいになった血液が、腎臓から身体に戻ります。
糸球体でろ過された尿(原尿)は、健常な方では1日に約150リットル。しかし実際の尿は1.5リットル程度ですから、99%は尿細管で再吸収されることになります。糸球体でろ過された原尿には、老廃物以外に、アミノ酸やブドウ糖などの栄養素や、塩分やカリウム、リン、マグネシウムなどのさまざまなミネラルも含まれています。このような身体にとって必要な成分を再吸収することにより、体内の水分量を一定に保ったり、ミネラルのバランスを調整したり、身体を弱アルカリ性の状態に保つことが可能になります。この機能を発揮するために、腎臓は1分間に1Lもの血液を受け入れ尿となるのは一日で1.5リットル程度です。

②血圧の調整

生体恒常性の維持に関わる各種ホルモンを産生する役割があります。腎臓の傍糸球体装置と呼ばれる部分ではレニンという血圧調節ホルモンが分泌されます。このホルモンは血圧上昇作用を持つアンジオテンシンIIという物質を作ります。腎動脈に狭窄があると、腎臓への血流が低下するために、レニンの産生が亢進し、高血圧となり、これを腎血管性高血圧と言います。

③ビタミンDを活性化して骨を丈夫にする

カルシウムとリンの吸収に関与するビタミンDは腎臓で活性化されます。慢性腎臓病が進行すると、ビタミンDを活性化することができず、骨がもろくなり、骨やミネラルの代謝異常をきたします。また、副甲状腺ホルモンなどの刺激をうけてミネラルの再吸収を調節したりしています。健常な方では腎臓と副甲状腺と骨で微妙な調節が働いていますが、腎臓の働きが低下すると、制御を失った骨や副甲状腺は代謝が暴走し始め、多様な骨ミネラル代謝障害を呈します。この病態は慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)と呼ばれます。

④赤血球をつくる

腎臓の間質で作られるエリスロポエチンといういうホルモンは、赤血球の前駆細胞に働きかけ、赤血球の産生を亢進させます。慢性腎臓病が進行すると、エリスロポエチンの産生が不十分になり、貧血になります。これを腎性貧血と言います。

 

症状が出ていない「隠れ腎臓病」のうちに・・・

 

早期発見・早期治療が重要です!健康診断ではここを確認!

①尿たんぱく

漏れ出るはずのないたんぱくが尿の中に漏れ出ていると、腎臓の働きが悪くなっている可能性があります。尿たんぱくが「陽性」の場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

②クレアチニン値

クレアチニンは老廃物のひとつで、腎臓の働きが悪くなるにつれて血液中にたまります。

③eGFR(推算糸球体濾過量)

血清クレアチニン値と性別、年齡から推算される値です。eGFRが低いほど腎臓の働きが悪くなっていることになります。


参考文献:一般社団法人 日本腎臓学会編 医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル、東京医学社(2015) 

参照:たんぱく尿 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

慢性腎臓病 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

血糖値・血圧・脂質異常も要チェック!

糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病も腎機能低下に大きく影響します。
なぜなら・・
腎臓は小さい限られたスペースに毛細血管が集積している臓器だから。
血液の状態や血圧に異常があれば即影響を受けます。

 

血糖値が高いままなら糖化が進む。高血圧が続けば血管を傷つける。増え過ぎた脂質も動脈硬化を進めてしまう・・・

腎臓の機能はいちど失われると、もとに戻る見込みはなく、腎臓の機能の低下を防ぐ、遅らせるといった機能維持が重要になります。


参照: |糖尿病性腎症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

3月の第2木曜日は「世界腎臓デー」

世界腎臓デーは、国際腎臓学会( ISN )と国際腎臓財団連合( IFKF )が、慢性腎臓病( CKD )の認識を高めるために制定して、皆さんが腎臓の検査を受けるようキャンペーン活動を行っています。末期腎不全は全世界的に増え続けています。早期発見、早期治療することが大切です。生活習慣病(肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常)や動脈硬化を指摘されたら早めに生活習慣、食習慣を見直しましょう。

参照: | 我が国における慢性腎臓病(CKD)対策への取り組み(厚生労働省)

 

 

生活習慣病を改善したい方、気になっている方

日々の食事の中で血糖値のコントロールや血圧管理に悩まれている方も多いと思います。「マイコーチ」では糖尿病や腎臓病の食事療法に配慮した、エネルギーや塩分を調整したお弁当をご用意しております。 只今、無料カウンセリングを受付中です。この機会にぜひご相談して下さいね。



  • 管理栄養士 腎臓病療養指導士

    大都 宏子(だいと ひろこ)

    私はここに来るまでの20年。多くの在宅で生活習慣病の療養をされている方に出会ってきました。病院とは異なり、自宅で食事療法に取り組まれる方の悩みや不安は千差万別。自分なりに取り組むもなかなか改善できない。何からすれば良いのかわからない、気づけば重症化していた・・・悩みは出会った人の数だけあったように思います。 ここでは、少しでもみなさんの不安や悩み解決の糸口になるような情報を発信していきたいと思います。