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腎臓を守る食事 塩分って必要?不要? 塩分を控えるコツ7選 


腎臓病と診断されたら、塩分は控えましょうと言われます。そう言われても・・・具体的にどうすれば良いの??ここでは塩分について、塩分をひかえる調理のコツをお伝えしていきます。高血圧症や心不全と言われた方もぜひご参考に。

腎臓病は・・・

その名の通り、腎臓のはたらきが悪くなる病気です。

一度失われた腎臓の機能は、多くの場合は回復することがなく、慢性の腎不全となります(急性の腎臓機能障害といった例外もあります)
食事や薬物療法が必要になりますが、特に食事療法は腎臓病の発症予防と重症化予防において重要と言われています。


参照:慢性腎臓病 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 




塩分って必要??不要??塩分の役割


私たちの身体には、常に一定の割合でナトリウムが含まれています。ナトリウムは体内で多くの役割を果たしており、生命維持に不可欠な存在です。

役割の1つとして、細胞を正常に維持する働きがあります。ナトリウムが少な過ぎたり多過ぎたりすると、細胞のバランスが崩れてしまいます。すると、血圧低下、脱水症状、ショック症状、立ちくらみなど、さまざまな症状を引き起こす恐れがあります。新陳代謝も低下するため、肌への影響も。

他に、神経や筋肉の動きを調整したり、身体が酸性になるのを防いだり、消化と吸収を助けるなど、さまざまな役割を果たしています。一定の割合のナトリウムを維持することで、私たちの身体は健康を保たれています。


塩分を摂りすぎるとどうなる??

 

一般的な食生活を送っている場合、塩分(ナトリウム)が不足することはほとんどありません。
摂りすぎるとむくみや口の渇きのほか、高血圧・胃がん・食道がんのリスクを高めることが報告されています。

ナトリウムは、人の体内で水分調整に関わっていますが、普段は一定の濃度に保たれています。
塩分の摂りすぎなどでナトリウムの量が増えると人の体は水分量を増やし、濃度を下げるように働きます。
この調整をしているのが腎臓になります。塩分の過剰摂取は腎臓に大きな負担をかけることになり疲弊します。

日常的に塩分の多い食事をとっていると、血液量が増えることになります。その結果、大量の血流を押し流すために血管壁に高い圧力がかかり「高血圧」となります。

また、心臓は血液を押し出すポンプの役割をしるため、血液量が増えると、当然心臓の負担も増します。

心臓に何らかの疾患を持っている場合、できるだけ心臓の負担を軽くする必要があるため、減塩が必要になります。

慢性的な高血圧は動脈硬化、腎不全、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、 心筋梗塞、網膜症などの疾患につながりかねません。

近年における日本人の成人1人1日当たりの摂取量は、食塩相当量として男性11g程度、女性9g程度であり、以前に比べ減少しています。しかし、減少したとは言え、世界的にみると高いレベルにあります。WHO(世界保健機関)は成人に対し、1日あたりの食塩摂取量を5g未満、を推奨しています。

健康的なイメージがありがちな日本食には塩分を多く含む調味料や加工食品がたくさんあります。

味噌や醤油などは、日本食に欠かせない調味料です。それぞれに含まれる小さじ1杯あたりの塩分量は、味噌が0.7gで、醤油が1.0gといわれています。また、保存食として昔から食卓にのぼる梅干しや漬物といった加工食品にも多くの塩分が含まれています。味噌汁や煮物、漬物などを食べることの多い日本人にとっては、塩分過多な食事になりやすいのです。

さらに、これらの食習慣に加え、インスタントラーメンやファストフード、お惣菜などの利用増加、外食する機会が増えたことも塩分過多につながった原因と言われています。




「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、摂取量の減少を目指すものと位置づけられており、目標量(食塩相当量として)は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。なお、高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量の量は、男女とも6.0g/日未満とされています。


参照:ナトリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)

参照:高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

塩分を控える 減塩の調理の7つコツ!

★うまみを活用
昆布やかつお節、干しいたけ、干し海老などで濃いめにお出汁をとって使いましょう。最近は手軽に出汁がとれるパック製品も売られています。(塩が添加されているものもあるので無塩、塩無添加の製品を選択しましょう)その都度、お出汁を取るのは面倒であれば、多めに作って冷蔵庫で保管。製氷機に流して冷凍しても良いですね。

★香辛料や香味野菜で風味アップ
わさび、粗びき胡椒、辛子、カレー粉、しょうが、にんにく、しそ、みょうがなど・・・香味が効いて薄味が気にならなくなります。おススメです。

酸味は強い味方
柑橘類の果汁、酢の酸味で薄味にアクセントを。

こんがりのお焦げで香ばしさをプラス
焼く・揚げるなどしてついた適度のお焦げの風味は、香ばしさと風味もアップ。薄味でもおいしく食べられます。

表面に味をつける
煮物などは最初から醤油などを入れず、だしや甘味だけで煮て材料に火を通したら、最後にしょうゆを加えて絡めるようにすると味を強く感じることができます。また、煮物などは冷める過程で食材に味が染み込みます。味見の段階で「薄いかな~?」で調味料を加えるのを止めましょう。
 
味つけは食べる直前に
サラダや和え物などは時間が経つと水分が出て味が薄くなります。食べる直前に調味料を和える方が少量でも味を感じられます。食材は大きく切るより小さく切った方が味が馴染みやすくなります。

減塩は食材選びから
もともと塩分の多い食材(ハム、ベーコン、練り製品など)は頻度を控え少量に、塩鮭や塩鯖などはなるべく買わない。野菜や芋類、キノコ、海藻類に含まれる食物繊維やカリウムは余分なナトリウムを排泄してくれる作用があります。旬のモノは栄養も豊富で素材の味を楽しむことができ薄味でも美味しく食べられます。

注意!腎機能の重症度や服用している薬によっては禁忌の食材もあります。必ず主治医や管理栄養士、薬剤師に指示に従いましょう。


減塩の道も一歩から。
日頃から塩分の多い食事に慣れていると濃い味に慣れています。急に厳しい減塩をしても続きません。薄味に慣れるまでに早くて3週間と言われています。
徐々に薄味に慣れることが大切です。




どれか・・に偏るのではなく色々な食材を取り入れて日々の食卓を彩りましょう。
注意!腎機能の重症度や服用している薬によっては禁忌の食材もあります。
必ず主治医や管理栄養士、薬剤師に指示に従いましょう。


末期腎不全は全世界的に増え続けています。早期発見、早期治療することが大切です。生活習慣病(肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常)や動脈硬化を指摘されたら早めに生活習慣、食習慣を見直しましょう。
慢性腎臓病の食事療法の基本は、「塩分を控える」「たんぱく質制限」「適正エネルギー量の摂取」の3つと言われています。また、必要に応じて「カリウムやリンの制限」が加わります。
もとの疾患の種類、病状、腎機能によって異なります。間違った食事制限は、病状の悪化に繋がるため、主治医や管理栄養士に相談しながら行いましょう。


参照: | 我が国における慢性腎臓病(CKD)対策への取り組み(厚生労働省)


参考記事:
あなたの腎臓は大丈夫!?自覚症状がない「隠れ腎臓病」について 

参考記事:もし、腎臓病と言われたら?何からどうすればよいの? 
参考記事:腎臓に負担をかけない食事 適正エネルギー量とは? 


生活習慣病を改善したい方、気になっている方

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  • 管理栄養士 腎臓病療養指導士

    大都 宏子(だいと ひろこ)

    私はここに来るまでの20年。多くの在宅で生活習慣病の療養をされている方に出会ってきました。病院とは異なり、自宅で食事療法に取り組まれる方の悩みや不安は千差万別。自分なりに取り組むもなかなか改善できない。何からすれば良いのかわからない、気づけば重症化していた・・・悩みは出会った人の数だけあったように思います。 ここでは、少しでもみなさんの不安や悩み解決の糸口になるような情報を発信していきたいと思います。