お問い合わせ

roomマイコーチの部屋【管理栄養士からのアドバイス】

腎臓に負担をかけない食事 適正エネルギー量とは・・


腎臓病と診断され食事制限が必要と言われた・・さて、いったい何をどうすればよいの?あれもダメ?これもダメ?いったい何を食べたらよいの??と不安になりますね。ここでは、腎臓を守る、腎臓に負担をかけない食事についてお伝えしていきます。

腎臓病は・・・

その名の通り、腎臓のはたらきが悪くなる病気です。

一度失われた腎臓の機能は、多くの場合は回復することがなく、慢性の腎不全となります(急性の腎臓機能障害といった例外もあります)
食事や薬物療法が必要になりますが、特に食事療法は腎臓病の発症予防と重症化予防において重要と言われています。


参照:慢性腎臓病 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 




腎臓に負担をかけない食事

腎臓は飲食の影響を受けやすいため、食事に気をつけることで腎臓の負担を軽減し、病気の進行を遅らせることが可能になります。

腎臓にはたくさんの血管が集まっています。腎臓のろ過装置である糸球体は、たくさんの毛細血管が寄り集まってできており、例えば高血糖がつづくと、糸球体の血管は硬くなり(動脈硬化)、組織が粗くなって、ろ過機能が次第に低下していきます。血管に悪影響を及ぼす生活習慣、食生活を見直す必要があります。

禁煙、肥満の是正、血圧、血糖、脂質を目標値内に抑えるよう努めましょう。

食事療法の基本は、「塩分を控える」「たんぱく質制限」「適正エネルギー量の摂取」の3つと言われています。また、必要に応じて「カリウムやリンの制限」が加わります。

食事療法は、もとの疾患の種類、病状、腎機能によって異なります。間違った食事制限は、病状の悪化に繋がるため、主治医や管理栄養士に相談しながら行う必要があります。



適正エネルギー量って??

適正エネルギー量は標準体重(身長m×身長m×22)当たり、30~35kcal/日になります。 
身長が160㎝であれば、1.6×1.6×22の56.3㎏が標準体重になり、56.3×30~35の1690~1970㎉が適正エネルギー量と計算されます。
慢性腎臓病患者さんでは心筋梗塞や脳卒中など心血管系疾患の発症頻度が高いことから、肥満は是正すべきと考えらています。肥満は慢性腎臓病を悪化させる要因の一つなので、BMI<25 kg/m2の場合は減量しましょう。
その反対に、エネルギー不足も低栄養状態となり筋肉量を減少させ、かえって窒素代謝物が増えて腎機能悪化に拍車をかけてしまうことになります。 たんぱく質制限を行うとエネルギー不足に陥りやすくなるため注意が必要です。
特に高齢患者さんは、食事の量が少な過ぎてエネルギー不足、栄養不足に繋がりやすくなります。痩せすぎないように注意しましょう。


参照:慢性腎臓病(厚生労働省)
参考文献:一般社団法人 日本腎臓学会編 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023、東京医学社(2023) 

参考記事:もし、腎臓病と言われたら?何からどうすればよいの? 

 


必要エネルギー量を維持・確保する

たんぱく質制限とエネルギー量について

たんぱく質制限食は、主に中等度から重度の 慢性腎臓病 患者さんに対する食事療法として推奨されています。
しかし、尿たんぱくの多い人や腎機能低下速度が速い人については、必要に応じてたんぱく質制限が行われます。栄養欠乏を来さないよう注意を払いながら、0.6~0.8 g/kg 標準体重/日のたんぱく質制限の指導が推奨されています。
たんぱく質制限を行うとエネルギー量の不足が生じます。そのため、不足分は脂質と炭水化物で補うことが必要となります。

エネルギー量を上げる調理の工夫
たんぱく質を含まない油と炭水化物を味方に。
★油を利用する
天ぷらやフライ、から揚げなどの揚げ物だけでなく、炒め煮、炒めものなどを作るときには、油を多めに利用すると良いでしょう。和え物にゴマ油を加えて中華風に、サラダにはオリーブオイルをかけたり。ドレッシングはノンオイルではなく油の入ったドレッシングを選ぶとよいでしょう。

★炭水化物を利用する
たんぱく質をほとんど含まない春雨や片栗粉を上手く使いましょう。
春雨サラダ、春雨の炒め煮など、エネルギー補給と同時に、食事自体のボリュームを上げることもできます。また、水溶き片栗粉であんかけ、片栗粉をはたいてから揚げもおススメです。

揚げ物や油を使用したメニューが続くことが苦手な人は、治療用特殊食品といったたんぱく質の含有量がかなり少なく、エネルギーが十分とれる食品をうまく取り入れると良いでしょう。


 




たくさんの血管があつまった腎臓。その血管をしなやかに、血液をサラサラにする作用のある食品の頭文字を並べた合い言葉です。

お:お茶に含まれるカテキンの抗酸化作用によって血管の老化予防に。
さ:魚(アジ、イワシ、サンマ、サバなどの)青魚に含まれる不飽和脂肪酸がLDLコレステロール値の改善に。
か:海藻(わかめ、ひじき、のり、昆布、もずく等)に含まれる水溶性食物繊維が血糖値の上昇を穏やかに。
な:納豆に含まれるナットウキナーゼが血液サラサラに。
す:酢に含まれる酢酸などは血流改善に。
き:きのこ(えのき、しいたけ、舞茸、しめじ、エリンギ等)に含まれるβグルカンがコレステロール値の改善に。
や:野菜(かぼちゃ、トマト、ほうれん草、ブロッコリー等 )に含まれる食物繊維やビタミン、ミネラルは健康維持に欠かせません。
ね:ねぎ(長ネギ、玉ねぎ等)に含まれるアリシンで血栓予防

注意!腎機能の重症度や服用している薬によっては禁忌の食材もあります。必ず主治医や管理栄養士、薬剤師に指示に従いましょう。


血糖値にも気をつけよう!

腎臓の血管を傷めないためにも血糖のコントロールは重要です。
食べるタイミングがポイントとなります。無駄に血糖値を上げないよう、普段の食習慣を意識してみましょう。

①血糖値が上がりやすい食事パターンを避けよう!
★朝食抜き、夕食のドカ食い
食事と食事の間隔が長く、低血糖状態が長いと上がりやすくなります。反対に短すぎるのも避けましょう。
  参考記事:糖尿病の食事療法のキホン 
  参考記事:何から始める?糖尿病の食事療法のコツ5選 
  参考記事:糖尿病の私、1日2食にした方が良いの? 

★炭水化物の重ね食べ
うどんと寿司やおにぎり、ラーメンとチャーハン、パスタとピザなど、炭水化物が中心のものを2品以上一緒に食べることを「炭水化物の重ね食べ」と言います。
食後血糖を一気にあげてしまいます。炭水化物は1つにし、食物繊維やたんぱく質が摂れるおかずを選択しましょう。


★甘い飲み物
これからの季節、脱水症対策等でスポーツドリンクを飲まれる方も多いですが、あるスポーツドリンクには、500mlあたりの糖質が30g含まれています。大さじ2杯分、1本3gのスティック シュガーでは10本分に相当します。食べ物は消化に時間を要しますが飲み物の糖質は消化吸収が早く、急激に血糖値を上昇させます。水代わりにこれらのスポーツドリンク、甘味のある飲み物を飲むことは避けましょう。
  参考記事:糖尿病の方は要注意!なぜ野菜ジュースで血糖値が上がるの? 

②血糖値の上昇を抑える食べ方をマスターしよう!
おかず(野菜や海藻を使った小鉢、たんぱく質が摂れる主菜)から食べ始めましょう。いきなりご飯や麺類を食べない心がけを。
他には主食に玄米や雑穀米、全粒粉のパンなどを取り入れる。そしてよく噛んで食べましょう。

 



末期腎不全は全世界的に増え続けています。早期発見、早期治療することが大切です。生活習慣病(肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常)や動脈硬化を指摘されたら早めに生活習慣、食習慣を見直しましょう。
慢性腎臓病の食事療法は、もとの疾患の種類、病状、腎機能によって異なります。間違った食事制限は、病状の悪化に繋がるため、主治医や管理栄養士に相談しながら行いましょう。




参照: | 我が国における慢性腎臓病(CKD)対策への取り組み(厚生労働省)


参考記事:
あなたの腎臓は大丈夫!?自覚症状がない「隠れ腎臓病」について 

 

生活習慣病を改善したい方、気になっている方

日々の食事の中で血糖値のコントロールや血圧管理に悩まれている方も多いと思います。「マイコーチ」では糖尿病や腎臓病の食事療法に配慮した、エネルギーや塩分を調整したお弁当をご用意しております。 只今、無料カウンセリングを受付中です。この機会にぜひご相談して下さいね。



  • 管理栄養士 腎臓病療養指導士

    大都 宏子(だいと ひろこ)

    私はここに来るまでの20年。多くの在宅で生活習慣病の療養をされている方に出会ってきました。病院とは異なり、自宅で食事療法に取り組まれる方の悩みや不安は千差万別。自分なりに取り組むもなかなか改善できない。何からすれば良いのかわからない、気づけば重症化していた・・・悩みは出会った人の数だけあったように思います。 ここでは、少しでもみなさんの不安や悩み解決の糸口になるような情報を発信していきたいと思います。